2026.02.14

「チップ型電解コンデンサーの開発実用化」について
今回はコラム記事(No.24)「両面リフローはんだ付け工法の取組について」の
続編として、チップ型アルミ電解コンデンサーの実用化について当時の状況について説明します。
1985年当時、リフローはんだ付け用アルミコンデンサーはA社から積層テフロンゴム封口型V型アルミ電解チップコンデンサーが開発販売されていました。しかし、コストが高く民生機器には採用が難しかったため通常のゴム封口型チップの開発を要請しました。また、A社だけではなく大手B社にも働きかけて開発を推進しました。このV型構造はA社の特許ですが、業界各社が使用できるようにしたA社の「業界繁栄」というポリシーに基づく英断がありました。 なので、2社の他にも数社が開発を開始し、開発状況は都度コンデンサー工業会にて共有され各社とも製品化の時期は異なりますがチップ型アルミ電解コンデンサーとして製品化され現在に至っています。
実際の開発に当たっては、A社、B社にてリフロー耐熱性を考慮したサンプルを作成し、初期特性を測定したサンプルを納入して頂き電機メーカーにてリフロー処理して静電容量、台座の熱変形を確認してから部品メーカーへ戻して「リフローによる特性劣化」を調べるというステップを繰り返しました。また、時には部品メーカーに出向いて部品メーカーのIRパネルリフロー炉にて耐熱評価も行いました。
そして、大手二社において、部品信頼性評価、製造工程の整備が完了して1986年に小型オーディオ製品に初めて「ゴム封口チップ型アルミ電解コンデンサー」が採用されました。その後、他社の小型製品にも順次採用が拡大し、他部品メーカーの開発も進み、大型LCD-TV用として2度リフロー対応、車載ECU及び産業機器用ECUなど幅広い業界で採用され現在に至っています。
ゴム封口型のチップ化に際して、評価検証はやり切ってはいたものの実際に量産リフローはんだ付けになるといくつか問題が発生しました。当時のリフロー炉は強制対流方式(熱風型)ではなくIRパネルヒーター方式でしたから基板内温度差(⊿t)が大きく、熱影響が大きかったと考えられます。以下に説明します。
①外装チューブの熱損傷・・・・導入当初はPVC(一部ポリイミド)チューブでしたので製造工程の素子本体
のチャック時のキズが原因でリフロー時にPVCチューブが破損するロットが発生しました。対策として
は、チューブレスとして表面にポリアミド樹脂コーティングを施して現在も同様なコーティングです。
②封口部の偏心による封口ゴムの突出・・・・電解チップのリフロー後に同一方向に傾くロットが発生しまし
た。取り外して確認すると±電極部が若干偏心しており広いゴム部分がリフロー時の内圧上昇により突
出したものです。これは、封口ゴムのカシメの位置調整で対策されました。
③電解液漏れによる基板パターンの腐食・・・・これは封口ゴムの材質、カシメ部の甘さと電解液との相性に
より高湿度の環境にて液漏れが発生してレジストのピンホールを介して銅パター部へ侵入&腐食となっ
たものです。液漏れ事件として東南アジアで販売された製品数社に拡大しましたが、封口ゴム材質の見
直しとカシメ部の精度アップにより改善されました。
以上、量産導入初期にはいくつか問題が発生しましたが、現在では諸特性の改善が進み、民生のみなら
ず産業機器や車載機器などに幅広く採用されるようになり、当時を知る筆者としては隔世の感がありま
す。
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